2022/3/21

生きものと共生する水辺を守る学習会を開催いたしました。

3月20日(日)、3月21日(月・祝)
「生きものと共生する水辺を守る学習会」を開催いたしました。

2012年7月に円山川下流域・周辺田んぼがラムサール条約に登録され、今年で10周年となることから、ラムサール条約登録10周年プレ事業として開催をいたしました。
日本野鳥の会の遠藤理事長に来館いただき、2日間にわたって講演や座談会、一緒に豊岡市内を回ってコウノトリや冬鳥の観察をしていただきました。
定員いっぱいまで申し込んでいただき、盛況のうちに終えました。

1日目は「サシバの保護と地域づくり(栃木県市貝町)」と題して、遠藤理事長に講演を行っていただきました。
始めにサシバの生態と、サシバの保護と地域づくりに取り組まれている市貝町について説明をいただきました。
サシバは田んぼや林などの里山に住む鳥で、栃木県市貝町での分布と生息密度が高いそうです。
市貝町での生息密度が高いのは、入り組んだ地形が多く谷間の田んぼが多いという事、そして農林業が営まれてきた事が、サシバの食事と営巣の環境に適しているとの事でした。
しかし、①里山の開発 ②農地整備(圃場・水路の整備等) ③耕作放棄地の増加が原因で、その数は減少しているとの事です。
これは、豊岡市、市貝町だけでなく、全国的にこういった傾向なのだと感じました。

人とサシバを未来へつなげるため、サシバの里づくりに取り組まれています。
資源を見つけ、残し→それを活かして→ファンを増やし→ファンの力を保全につなげる。
これが将来へつなげるサイクルとの事です。

そして、問題を解決するために取り組んでいる、都市農村交流促進事業、里山保全事業、人材育成事業、観光まちづくり事業の具体的な内容について紹介をしていただきました。

サシバは渡り鳥(夏鳥)で、繁殖地の市貝町を保全するだけでなく中継点や越冬地での保護も必要で、2019年5月に、国内外300名を集めた第1回「国際サシバサミット」を、市貝町で開催されました。
国際連携については、コウノトリとも通じるところのように感じます。

その後は、参加者を交えた座談会を行いました。
各々、講演についての質問や、再発見した事、新発見した事などを話し、交流をしました。

2日目は、市内の中高生を対象とした、市内の野鳥観察へ。
始めに、遠藤理事長が鳥を見始めて今に至るまでのお話をしていただき、戸島湿地~楽々浦湾~赤石巣塔~野上巣塔~祥雲寺巣塔を周りました。
参加者の方それぞれに、得意な分野で説明をしてもらいました。
戸島湿地や各巣塔では、ペアや他のコウノトリ達の観察を、楽々浦では水鳥たちを観察しました。

参加者からは、今回をきっかけにコウノトリや生き物との距離感(人の介入)について、考えるきっかけになったと感想をいただきました。

遠藤理事長より参加した中高生へエールをいただき、コウノトリ野生復帰が行われている豊岡に居るという事は、実はラッキーなことで、ここから人と自然の共生に関わる人が多く出てくればと、エールをいただきました。