近畿大学校友会但馬支部の皆さんがお越しくださいました。
10月22日(土曜日)の午後、近畿大学校友会但馬支部主催の講演会が開催されました。
近畿大学名誉教授の細谷和海先生が
「戸島湿地の自然に値段をつける」と題して講演されました。
「私たちの生活をより豊かにする行為の代償として、自然が破壊され続けています。
自然から受ける恩恵は、食料や燃料の提供といった直接的なサービスに止まらず、
そこに棲む生き物への慈しみや景観がもたらす癒しの効果などさまざまです。
残念なことに、自然保護を願う人たちがどんなに自然のすばらしさを訴えても、
一般市民の心には響くことはありません。
そのことは得てして無計画な開発を許すことにもつながります。
なぜなら自然の価値を計る基準がないため、目先の利益を前にして無視されてしまうからです。
そこで自然の価値を客観的に評価してもらうためには、
自然の価値をお金に換算することにより同じ土俵に上げ、開発の是非を問うことが望まれます。
そうすれば、公共事業を進める前に開発によって得られる利益と、
そのことで失われる自然の値段を比べることが可能となり、
税金を払う立場としても公平に判断することができるでしょう。
最初に戸島湿地が置かれた生態学的意義について、
次いでその価値を計る環境経済学的評価方法についてご紹介します」
評価方法としては
・戸島湿地地が有機性排出物を輩出し、水質の浄化をしていることが分かると
小さな下水処理場を建設する費用と照らし合わせてみる。
・戸島湿地には稚魚がたくさんいて円山川にすむ魚の繁殖地となっていることから。養殖場の建設費に換算してみる。
・環境教育の場となっているので、学校建設にあたる費用と照らし合わせてみる。
事例をあげて分かりやすく、説明してくださいました。
近畿大学校友会但馬支部の副会長の溝部さんは第一生命に務めておられます。
講演のあと、湿地作業をしてくださいました。
ご家族で参加され、草刈り後の草の搬出を一生懸命してくださいました。
近畿大学付属豊岡高等学校・中学校の皆さんは外来種駆除をしてくださり
細谷先生から、アドバイスや水生生物の説明を聞き充実した時間を過ごされていました。
細谷先生が提唱してくださった「戸島湿地を守るための覚書」の項目を
ひとつ、ひとつ大切にしていきたいです。
1.豊岡の水辺に親しもう。
2.戸島湿地はエコトーンであることを理解する。
3.湿地から得られる恵みは何か考えよう。
4.コウノトリだけに注目するのではなく、
餌場の生態系にも注目してみよう。
5.開発によって得られる利益と失われる
利益を計算し、比較する姿勢も必要。
6.戸島湿地や円山川の自然をもっともっと宣伝し、
値段を吊り上げよう。
7.戸島湿地の価値をSDGsに当てはめてみよう。
8.円山川の素晴らしい自然を後世にも伝えよう!
近畿大学校友会但馬支部の皆さん、
第一生命の皆さん、近畿大学付属豊岡高等学校・中学校の皆さん
ありがとうございました。